喘息プログラマー(ITとは無縁の話をしようと思う)

喘息プログラマー

突然ですが皆さんは神を信じますか?

実は私、
神になったことがあるんです。




はい、そこのあなた、
今、私のこと
頭クルクルパーだと思いましたね。

えーとですね、
なんで急にこんなこと書き出したかというと、ドラマの影響です。

全領域異常解決室
って知ってます?

もうこれにドハマりしていまして、神vs神といった能力者バトルを彷彿させる内容でして、ドラマ観ながらふと思い出したんですよ。

そういえば、、、

俺、若い頃、集会所で神をやったぞ

と。


何を言っているんだオマエ
と思った人が大半だと思います。

※今から話すことは神聖なものでして、決して作り話ではありません。

目次

  1. 神の田を守る者たち
  2. 神とトモ
  3. その日私は神になった
  4. 神の掟

神の田を守る者たち

私はド田舎の村育ちでしてね。非常に閉鎖的な世界で育ちました。
近所の人たちは皆私を知っており、私もまた近所の人たちを知っていました。

狭い世界なので何をするのにも見られている感じがしたもんです。

村には古くから住む先住民と、別の土地から移り住んだ新住民が共存していました。

他界した私の祖父は先住民であり、田んぼを耕していました。私は祖父の顔を知りません。これは父から聞いたことなのですが、昔は天災や川の氾濫で凶作がたいそうあったそうで、そんな時は仲間同士で助けあって危機を乗り切ったそうです。

祖父たちの祖先は天災に備えて部落というものを作り、不作・凶作が起きても部落のみんなが生き延びられるよう、持ち回りで1つの田んぼを耕しました。
その田んぼを神の田と名付け、収穫の時期になると皆で稲刈りをして、米俵を奉納していたらしいです。

何かあった時のために・・
生き抜くために・・

神の田は代々、部落の男たちに守られ大切に扱われてきました。

のちに収穫時の奉納イベントは神聖な儀式に形を変えて、式の後には収穫を祝う宴会が行われるようになり、それらを部落の祭りとして毎年行われることになりました。

神とトモ

式の会場では選ばれた3人の男が上座に座り、
真ん中の男が神、両脇の男2人が神を支えるトモ(共)という役を演じ
奉納の儀を行うのです。

部落に属する各家の当主たちは神に感謝の意を伝え、その年の収穫を皆で祝うというわけです。

この神聖な儀式は、昔は各当主の家で行われていました。私の実家が八畳二間で障子ぶち抜きができるのは祭りのためだったことを私はあとで知ったのです。

神をつとめることは生涯で一度と言われており、大変めでたいことであって、父も過去につとめています。
昔の祭りは三日三晩続いたので、母をはじめ部落の奥さん方は大変な苦労をされたと聞いています。
神をつとめる家は家族総出で手伝うのと、部落の人たちが協力し合って、祭りを成功させるのです。

祭りは毎年どこかの家で行われていたので、その家に同じ部落の子供たちが集まって夜を過ごしたりしましたね。

父が神をつとめたときは、小さかった私が紙袋を持って、コの字になった当主たちの席を歩き回り、お小遣いの入ったポチ袋を投げ込んでもらいました。

母が祭りの手伝いに行ったときは私が喘息発作を起こしてしまって、迷惑をかけたこともありましたっけ。

いろいろなことがありました。

祭りに参加している人は当然のことながら部落に属する人たちだけで、しかも会場は女人禁制。私は差別的なネガティブイメージを気にして、大人になっても部落の祭りのことを口外することはありませんでした。

ところが、
最初のSES出向先の社長が神社お寺が大好きでかつ、友達が神主ということで、飲み会の時についポロッと部落の祭りのこと喋っちゃったんですよ。

そうしたら、
物凄い食い付きで次から次へと社長の質問攻めにあって、翌日には全体にその話が広がってました。笑


その社長いわく、

まさにそれを伝統と言うのです。
あなたは非常に貴重を経験をされましたね。
羨ましいです。

社長からそんなこと言われたことを今でもよく覚えています。

そして、
その祭りの場にて、なんと私が上座に座ることになろうとはいったい誰が予想できたでしょうか。

その日私は神になった

話を冒頭に戻します。

24年前、部落の祭りにて私は神になりました。

世代交代でした。父から私にそのバトンが渡されたのです。
当時私は二十代、若い神となりました。
トモには隣家の当主と、同じく近所に住む当主が座り、儀式は朝から行われました。

祭りの開催中は集会所の庭に大きなのぼり旗が立ちます。早朝に当主たちが地中から旗と巨大な棒を掘り起こし、皆で力を合わせて立ち上げるのです。
(ほんと凄いところに隠してありましたよ)
その光景を目にしたとき、まるで大河ドラマの1シーンに自分が居るかのようでした。

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旗が立ったら主役たちは正装に着替えます。神はトモ役の隣家の当主に羽織りを着せられて、背中に何か書かれた木札が差し込まれます。

「George君、これで今から君は神様だ。おめでとう」

そうして祭りが始まります。
細かいことは端折りますが、お祓いがあったり挨拶あったりして前半の儀式を終えます。

後半は基本的に飲み食いするだけですが、神とトモの役を仰せつかった主役たちは違います。
部落の当主たちがこぞって神にお酒を注ぎますので、当然神の前には行列ができます。
神は次から次へと注がれた酒を飲まなくてはいけません。

これを助けるのがトモです。神が飲みきれない酒はトモが飲みます。

新手のアルハラ?

まあ、私の時は20年前でしたから。
今はどうなっているのか、部落を抜けてしまったので分からないです。

ちなみにお酒が飲めない神のときは甘酒だったそうです。

で、
飲み食いを楽しんだあとにクライマックスとなります。

これが凄いんです。
本当に凄い。

神の掟

お相撲さんが祝い事で使う大きな盃があるじゃないですか。
あれを神が両手で持たされて、やかん2つで酒を注がれるんです。
トモの2人は横で一回り小さい空の盃を持って構えていて、みんなが見ている中、真ん中の神がグイグイと飲むんです。
ハンパ無い量なので少しずつ飲んでダメなら横のトモに分けて、3人で全部飲み干します。
それでもって、空になった盃を頭に被るんです。

いかがですか。
これが伝統です。

当然のごとく歴代の神たちはヘベレケとなり、ある神は靴を間違え、またある神は玄関で寝てしまい、はてまたある神は帰り道に神聖なる田んぼに粗相をしてしまい、数々の武勇伝が今もなお受け継がれています。

私も例外はなく、しっかり二日酔いとなりました。いや、三日酔いでしたね。

極めつけは神には掟があって、祭りのその日から1年間、なんと、


肉を食べてはいけないのです。


これが伝統なんですよ。



そして私が神となった数日後、

友達と焼肉を食べてしまうことになろうとは、誰もが予想できたことであり、

えーと、

神様、ごめんなさい



というわけで、私が神になった話でした。
いかがだったでしょうか。


幼い頃、まだ祖母が健在だった時、祖母からこんな話を聞きました。

昔は本当に食べる物が無くて、生きていくのに精一杯で、部落のみんなで協力してなんとか飢えをしのいだんだ。

これを書いている最中、たまたまその話を思い出しまして、
なんて自分は恵まれているんだろう
と思った次第です。

今、仕事がつらくて逃げたくて仕方がないのですが、祖母の言葉を思い出し、明日も会社に行こうと思いました。

余談ですが、霊感の強い友達と先輩に時期をずらして、
「左肩におばあちゃんがいるよ」
と言われたことがあります。

さらに、
学生の時に交通事故に遭いまして、医者から
「あと1秒ぶつかるのが遅かったらこの世に居なかったよ」
と言われたことがあります。

きっと、ばあちゃんが助けてくれたんだと思います。
大好きだったばあちゃん。

また会いたいな。。。

そんなわけで、久しぶりの長文となりました。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

また今度。

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