絶望プログラマー(若者が会社を辞める理由)

絶望プログラマー

こんにちは。
先日美容院へ行きまして白髪染めをしたのですが、毎回なかなかの金額でして私の懐を圧迫し続けております。
担当の美容師さんに「いつになったら白髪染めやめられますかね?」と聞いたら、まだ黒毛がけっこうあるそうでグレーヘアーには程遠いみたいです。この先もお金を払い続けなければなりません。絶望です。

さて、今日はネガティブな話をしたいと思います。

目次

  1. 3人に2人が3年で辞める
  2. 新しい技術ってなに?
  3. プログラミングはあくまで手段
  4. 最低3年の理由

3人に2人が3年で辞める

うちの若手が4月で3年生となりました。入社当時は報連相がダメダメだったのが今では1年生に教える立場になりました。

仕事に飽きて中だるみしてしまうこともありましたが、今はプロジェクトひとつ持てるようになり、年上のビジネスパートナーさん達を率いて毎日奮闘しています。

昨今、若者はすぐ辞めると言われていますが、残念ながらその通りです。
ITはきつい業界なので3人に2人が3年で辞めるなんてよく聞きます。

私の部下も何人か辞めていきました。新人受入れを始めてからもう長いですが早い人は1年持たずに辞めました。

若手が辞める理由はたいてい家庭の事情です。
が、それは表向きのものであって実際は人間関係か仕事内容です。仕事であればさらにその奥に給料のことが隠れているケースがあります。

人間関係については部署移動するなりで何とか手が打てるのですが、仕事絡みはどうにもなりません。「あれがやりたい、これがやりたい」と言われてもその技術を使っていないので無い袖は振れないということが多々あります。
(大手だったらこの辺融通が利くんでしょうね)

そんなにやりたいことがあるなら自ら手を上げて提案して新事業を興せば良いじゃないか

といった声をよく聞きますが、実際に可能かと言われると若手には少々ハードルが高かったりします。
結果的に辞めていきます。

新しい技術ってなに?

「この会社では新しい技術を経験できない」

部下から退職の話があったときにこの台詞を何度も聞きました。

新しい技術って何なのでしょうか?
よくよく話してみると明確になっていないケースが殆どでした。

モヤモヤしていて、なんとなくトレンドで、みんなやっているもの。

なぜそんなモヤモヤしたものを追いかけるのでしょうか?
「差し支えなければ追いかける理由を教えてほしい」と私は必ず聞くようにしており、何人かから以下のような答えをいただきました。

1.周りが騒いでいるから(流行)
2.友達がやっているから(影響)
3.稼げるから(お金)

ポイントは3番のお金です。
新しい技術を学べばお金をたくさん貰えることをイメージしているようで、その裏には新しい技術を学ばないとお金が稼げない=時代に取り残されるということが隠れているようでした。

新しい技術とは何なのでしょう?
新しい技術を学べば稼げるのでしょうか?

新しい技術をトレンド技術、すなわち今流行のWeb開発技術として稼げるか調べてみたところ、ちょっとググったら出てきました。

■フロントエンジニア
 700万-1069万
 ・動画プラットフォーム事業のTypeScriptを用いたフロントエンド開発
 ・React等のフレームワークを用いた開発

■サーバーサイドエンジニア(フルリモート可)
 500万-1000万
 ・Webアプリケーションの設計・開発経験(3年以上)

■アプリケーションエンジニア(フルリモート可)
 600万-800万
 ・Reactを用いた SPA(Single Page Application)の設計/開発の実務経験(2年以上)

某求人サイトより

なるほど・・、最低でも年収500万ですか・・。
上は1000万を越えていますね。

こういうものを若手が見てしまうと「Web技術やらなきゃ」と焦ってしまうんでしょうね。実際に面と向かって「ここではXXXの新しいWeb技術が学べない」と言われましたし。

確かにその時の流行技術ができるか否かによって給料は変わります。それは否定しません。

しかしながら技術がすべてかというとそうではありません。技術は常に変わりますし、たまたまその時流行っているというだけであって求人広告の内容も常に変わります。

常に変わる技術をいつまで追いかけるのでしょうか?
20代は体力があるから多少寝ないで勉強しても大丈夫でしょうが、40代となったら話は別です。

なぜ末端の行程ばかり見るんだろう?といつも思います。
システム開発というのはプログラミングだけで成り立っているものではありません。むしろプログラミングは全体の1割~2割程度で、それ以外の要件定義と設計工程がプロジェクト成功の鍵を握っています。

「Reactをやらなきゃ」「Vue.jsをやらなきゃ」「Laravelもやらないと」
なんて話をよく聞きますが、これらすべてシステム開発の1割~2割部分にすぎないのです。

プログラミングはあくまで手段

若手からよく聞くクリエイティブ=0から1を生み出す仕事は、設計工程が握っているということに早く気付いてほしいなと常日頃思っています。

手段は何でも良いのです。その時代によって変わるでしょう。それに合わせれば良いだけです。

大事なのは「生み出す」こと、0から1の部分です。この生み出す部分に携わることができれば人生安泰です。
給料も増えるでしょう。なぜなら希少価値が高いから。需要と供給の関係で必然的に給料が増えます。

1から2を作る人というのは意外といるんですよ。うちにもいます。
問題は0から1を作れる人です。このスキルを持った人はなかなかいません。

新製品を作るときに何が一番悩むって、プログラミング言語のことなんてどうでも良くて、ネタがすべてです。アイデア、発想が大事でそれを具現化できる人っていうのは間違いなくキーマンなわけです。
そしてこの時こそ要件定義と設計が重要になってくるのです。

新しい技術ができないという理由で辞めていった若者にこの話をしたのですが引き留めることができませんでした。

どうしてもプログラミングに拘りたいとのことで、ReactやVue.jsに変わるものが出てきたら、その時はまた学ぶそうです。その環境で学ぶ(経験する)ことができなければまた別の環境に移るということなのでしょう。

結局最後は組織に属さないフリーランスを目指すということになるんだと思います。

そういうキャリアビジョンを持った若手に帰属意識を持たせるのは非常に困難であると、新人受入れを続けてきてしみじみ感じています。

最低3年の理由

最低でも3年は会社に居てほしいですね。なので将来的な話を必ず1on1でするようにしています。

なぜ3年なのかとよく聞かれますが、要件定義と設計を一通り経験するには3年くらい必要なんですよね。個の仕事であれば1年目でもできると思いますが、設計となると話は別です。さらに要件定義となったら対お客様となるのでそんなすぐにはやらせられません。どうしても経験値が必要、つまり時間が必要になります。

冒頭の4月で3年生になった若手も「新しい技術をやりたい」と言っていた時期がありました。それに対して私は将来的な話(プログラミングは全体の1割~2割)を言い続けました。

その結果、今どうなったかというと・・

利用しているプログラミング言語は変わっていませんが、うちのチームで新サービスが生まれました。その開発陣頭指揮を執り、設計を行ったのが「新しい技術をやりたい」と言っていた上記の若手です。
そして先日第1号となるお客様へ無事に納品することができました。チームのみんな凄く充実した表情をしていましたね。

新しい技術を追い求めることに対して否定はしません。
しかしながらその技術で作られたシステムを利用しているのはお客様です。

そのお客様に満足していただけるサービスを生み出すことができたときの達成感はかなりのものです。この達成感は経験しないと絶対に分からないとはっきり言えます。

なのでぜひ若手には仕事をやり抜いたときの達成感を経験してほしいですね。辞めるのはそれからでも遅くないでしょう。そう思う今日この頃です。

ではまた。

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