課長になって5年、いつも部下との接し方や教育のことを書いたりしているのですが、今宵はBP(ビジネスパートナー)について語りたいと思います。
目次
- BPは稼げるのか?
- なぜ高額なBPを雇うのか?
- 実はBPは長期雇用しにくい
- BPは本番データに触れない
- 渡り鳥
- 業界の闇? 指示系統がグレーゾーン
- BP脱走事件簿 消えたビジネスパートナー
BPは稼げるのか?
けっこう前からネットで「フリーランス月収100万」とか「フルリモート勤務で高収入」など美味しい話をよく目にするのですが、それらは雇われる側に対してであり、雇う側の私の視線になると
「えー、そんなうまいこといかないでしょー」
と常々思うわけです。
金額について嘘でないことは分かります。
月100万という案件は実際にありますし、スキルがあれば月70~80くらい普通に貰えます。
が、手取りではないという所がポイントです。保険や税金など引かれるものがたくさんありますからね。はたして手元に残るのはいくらになるか。
そこを冷静に見る必要があります。
BPを雇うと月単価いくらみたいな感じで、けっこうな金額をお支払いします。この時に紹介や所属会社など間に企業が入っていれば、そこがピンハネして実際に働く本人に入るお金は減ります。
仲介が入っていないケースで直接の契約であれば本人に全額渡るわけです。
BPの人たちは皆ここを目指すのだと思います。最初は所属会社の一員としてお客様になる企業へ出向し、ピンハネされながらも力を付けて、いずれ独立するみたいな。
なぜ高額なBPを雇うのか?
雇う側としてけっこうな金額を払ってまでBPを使うメリットは、言葉悪いですが切りたいときに切れるからです。
雇ってみて、もしダメダメな人だったら切れば良いし、その時の経営状況で雇用人数を調整できるメリットがあるから割高な金額を払うわけです。この辺のことはニュースやSNSで散々「ブラック」「業界の闇」だの叩かれていますね。
日本ではどこの業界も正社員を簡単に切れなくて、特にIT業界は昔からリスク回避のためBPに頼っています。
大きいプロジェクトになると一時的に多くのBPを集めて、えいやっとシステムを作り解散します。50人のBPに対して正社員が2~3名しか居ないなんて話はIT業界ではざらにあります。ちなみに正社員のことをプロパーと言うんですけど、私がIT業界入って最初に覚えた業界用語です。あとは「書きっぷり」「腹落ち」「しへん(仕様変更)」とか、「デスマーチ」なんてのもそうですね。
プロパーとBP、この間には見えない境界線が引かれており、残念ながら未だに差別っぽいことがあります。私はそういうの嫌いなので、イベントごとでも何でも普通に接しています。飲み会にももちろん誘います。
実はBPは長期雇用しにくい
これはもう宿命的なことなのですがプロパーと違ってBPは待機というのが難しいんですね。何かやらせなければいけないわけです。仕事が無くなるなんてことは許されませんから、もし暇になったらBPのために仕事を作らなければいけないというおかしなことになるわけです。
つまり、仕事が決まっていないとBPは雇えないわけでして、長期契約となると長いプロジェクトでもない限りずっと雇い続けることが難しいわけです。
それでもデキる人だったら、別の部署のプロジェクトをやってもらうなどしてどうにかして繋ぎ留めます。優秀なBPは手放したくありませんからね。
雇われるBP側の視点として、ここまで成り上がれば成功と言えるでしょう。
お客様となる企業の信頼をたくさん得た後は独立して、信頼を勝ち取ったお客様から仕事紹介されたりお呼びが掛かると思います。
BPは本番データに触れない
これもあるあるでして、重要なお客様のデータや出向先にあるサーバー内のデータなど、基本的にBPは触れません。これには情報漏洩防止が絡んでおり、大きい会社だとプロジェクトに参画する前に強制的にセキュリティ研修を受講させられ、かつ定期的に研修を受ける必要があったりします。
プロパー(正社員)とBPでは責任のレイヤーが大きく異なっており「BPはプロパーから言われた通りのことを行う作業員」とよく言われるのにはこの辺の事情が絡んでいるわけです。
とはいえBPの中でも立ち位置があり、例えば一個小隊の長を任せられた場合はそれこそ冒頭に記載した月100万となってくるわけです。
BPが触れないデータがある以上、プロジェクトには必ずプロパーが最低1人付きます。そうでないと保守が成り立たなくなるわけで、プロパーの責任は重大となってきます。必然的にプロパーとBPでは責任のレイヤーが異なり、これをどう思うかはその人のキャリアプランに依存してくるわけです。
渡り鳥
BPのことをそのように呼ぶことがあります。最新技術を取得しながら企業から企業を渡り歩き、一か所に長くいないということです。
これが良いのか悪いのか分かりませんが、私と同じくらいの年齢の人はだいたいゴールは社長さんになることです。まぁ、独立ですね。
SES会社を立ち上げる人が殆どですが、フリーランスでずっと同じところにいる人もいます。そういう人はお客様企業から絶大なる信頼を得ており、引退するまで直契約で高収入を得るでしょう。
羨ましい限りです。
私なんて・・、1日1日を生きることで精一杯ですよ。
そんなわけで、
若い方達には誇大広告になんて騙されずに、ぜひとも人生の上がりを目指してほしいもんです。
BPとして経験を積み、独立して、高収入を得て、ファイアー!ですよ。
(FIRE = Financial Independence, Retire Early)
業界の闇? 指示系統がグレーゾーン
BPといったらSESです。SESはあくまでも自分が所属する自社(フリーランスの場合は自分)の業務命令に沿って任務を遂行します
と、ネットで調べるとそんな内容がたくさん出てきます。私自身SESを8年やりましたのでそのことをよく知っています。
がしかし、
すべて出向先のプロパーから業務命令が出ていました。残業から休日出勤命令まですべてです。
BPへの業務指示系統についてはネットで以下のワードを検索すると山ほど出てきます。SESの会社に就職したいと思っている方は事前に知識を入れておいた方が良いでしょう。
・SES契約(準委任契約)
・派遣契約
・請負契約
雇う側はBPとプロパーを分けて見ており、業務命令の種類が異なります。
(この後に記述するデータセキュリティが絡んでいます)
BP側の視線では自社と出向先を分けて見ることになります。月に1回とか帰社日があったりしますが、月のほとんどを出向先で過ごし、出向先のプロパーから業務命令が出るため、自社への帰属意識が薄れてくることが避けられません。
そのうち出向先が自分の会社と錯覚するようになるわけです。
昔からよく言われるのですが
「自分の席が自分の会社に無い」
これがBPです。自分の居場所はいったいどこなんだ?自分の上司は誰なんだ?と考え始めたら黄色信号です。
居場所も上司も自社に存在するに決まっています。それが長い間自社を離れていると、自分が誰を頼ったら良いのか分からなくなることがあります。実際に私も経験しました。滅多に話さない自社の上司は本当に自分の上司と言えるのでしょうか。
BP脱走事件簿 消えたビジネスパートナー
これは現実に起きた話です。一度目は私がSES会社で働いているときに出向先の同じチーム内で起こりました。私はBPでチームの一作業者でした。
ある日、要件定義を担当していたAさんが体調不良で休んだのです。次の日も連絡があってお休みでした。
次の日は無断欠勤でした。その次の日も。。。
まったく連絡が取れないので、Aさんの上司がついに動きました。自宅に数回行きチャイムを鳴らしたそうですが反応無しとのことで、いよいよ大事となり警察が出てくる騒ぎとなりました。
警察が安否確認のためAさん宅を訪れると、Aさんは何事もなく出てきたそうです。
「なんすか~?」
みたいな感じで。
疲れたから会社に来なかったそうです。
二度目は雇う側の立ち位置で起こりました。Bさんは着ているスーツがくたびれた感じでショルダーバッグのベルトが擦り切れていて、ちょっと外見が微妙だったのですがスキルが高くて普通に話せていたので面接合格にしました。
(正社員採用に比べてBP採用は評価基準が緩めです)
最初の一か月目は一所懸命やってくれました。二か月目もそこそやってくれました。三か月目で体調不良での休みが目立ち始めました。四か月目のある日、来なくなりました。
そして案の定連絡が取れなくなってしまい、BPのバックレはよくあることなのでクビにして放っておくつもりでしたがそうは問屋が卸しませんでした。
Bさんはうちの職場へ入るための入館証を持ったままだったのです。当然セキュリティ面の問題となり、入館証を早く返してということになったのですがBさんの所属会社の営業さんも連絡取れずでまたもや警察のご登場となりました。無断欠勤からの安否確認って大変なんですよ。
三度目はコロナ禍の時に起きました。すべてフルリモート業務の時でした。思えばリモート面接時にちょっと引っ掛かったんですよ。Cさんの服装がねぇ、カジュアルすぎるというか・・、「部屋着じゃん!」と思ったときにやめておけば良かったんですけど、当時なかなか良い条件のBPが居なくてリモート面接だけで判断して仕事お願いすることになったんですけど・・。
いやぁ、早かったですね。最初の一週間で一日体調不良、次週は二日間休み、三週目で辞めたいと言ってきました。早すぎるっ!
いったいなんなんでしょうね。フリーランスの方でしたけど、私何か気に障ること言いましたかね。事務的に業務の指示しか出してないんですけど。
上から大目玉を喰らいました。
「おまえは人を見る目がなーーーーーい!」
教訓
服装の乱れは心の乱れ
二度のバックレを喰らった私はその後人間不信となりましたとさ。
おしまい。